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UNIX的なアレ

UNIX的なこととかいろいろ

イノベーションとROI

先日、はじめてIVSに参加してきてイノベーションに関する様々な議論を聞いてきたこともあり自分なりに思考を整理するために書いてみます。

ROIという観点は重要ですし、会社を経営しているとどうしても出てくる単語です。当然どんな会社でも資金は有限ですし、我々のようなベンチャーであれば尚更です。いま投資した金額が、最低限でもそれ以上になって返ってくるということを期待したくなるわけです。

投資利益率 - Wikipedia

技術者に短期的にROIだけを求めるべきか

しかし、技術者にROIを求めすぎることでイノベーションが生まれづらい組織になってしまう可能性があることも懸念しないといけない。新しい技術についていくこと自体だけみると、短期的なROI的にみて悪い場合もあります。

「いまその技術を使うことでいくら売上がでるの?」と言われても、納得できる回答はなかなかできない。社内調整用の強引にこねくり回したような数値は出てくるのかもしれませんが、まぁ価値の無い数値です。

長期的な目線で見たらプラスになりうることではありますが、どうしても短期・中期の目線で見てしまうと非合理的なものはあります。nanapiで実施している技術の勉強制度もそうです。

これからのIT企業はエンジニアが成長できる制度を作らないとヤバイ | nanapi TechBlog

イノベーションのための投資

やっぱりわかりやすく効果が出やすいところに投資しがちです。これはこれで非常に重要なことですし、数値は当然伸ばす必要はあります。しかし、その投資だけでは破壊的イノベーションはなかなか生まれづらい。その結果、持続的イノベーションへの投資が中心になってしまう。まさにイノベーションのジレンマです。

イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)

破壊的イノベーションと持続的イノベーション

新技術のほとんどは、製品の性能をたかめるものである。これを「持続的技術」呼ぶ。(中略)しかし、時として「破壊的技術」が現れる。これは、少なくとも短期的には、製品の性能を引き下げる効果をもつイノベーションである。

イノベーションのジレンマ」に上記の記述がある。本書で紹介されている例だと、「ノートパソコン」に対する「携帯デジタル端末」だったり、「総合商研サービス」に対する「オンライン証券取引」が紹介されています。

引き下げるというのはひとつの表現ですが、それによって新しい価値を生み出すみたいな解釈をしています。例えば、最近の例だと「フィーチャーフォン」に対する「スマートフォン」だったり、見方を変えれば「コンパクトデジタルカメラ」や「携帯ゲーム端末」に対する「スマートフォン」という見方もできますね。

このような破壊的技術があるからこそ、ベンチャー企業は戦うことができるのだと思います。

持続的技術と破壊的技術

ただし、事業には0から1を創りだす時、1を10にする時、10を100にするときとそれぞれフェーズが変わってきます。実際にやることも変わってきますし、求められる業務内容も変化してきます。

ここで大切なのは、持続的技術と破壊的技術のどちらによりすぎてもいけないということです。既存の事業を継続してグロースさせていくことは重要ですし、またそれとは別領域の新規事業を立ち上げていくことも重要です。

この相反する考え方を一緒くたにして、ものさしを統一しようとするとそこで矛盾が生まれます。どうしても分かりやすい持続的技術のほうによってしまう。ここで、組織づくりの矛盾が生じてきます。

では、どのように組織をつくるか

これは業態によっても変わりますし、正解はないと思います。株式会社nanapiは、1つのプロダクトだけではなく複数のプロダクトを立ち上げ、それぞれで戦っていくという戦略をとっています。実際に、弊社で取り組んでいる注力サービスは以下の3つです。

このような企業である以上、持続的なイノベーションだけでなく、新しい価値を生み出すことができる破壊的なイノベーションは無視できない。となると、やはり重要となってくるのは事業をつくっている人です。

だからこそ、常に技術者には成長しつづけてもらいたい。そしてそれによって、どんなものを作ることができるのか、どんなイノベーションが生まれるのかを考え続けるような体制にしていきたいと思っています。

経営層の方はまず読んでいると思いますが、エンジニアやデザイナーの方で未読の方がいたらぜひ一度読んでみてください。前半部分だけでもすごく参考になるのでどうぞ。

イノベーションのジレンマ 増補改訂版 (Harvard business school press)

イノベーションのジレンマ 増補改訂版 (Harvard business school press)