UNIX的なアレ

UNIX的なこととかいろいろ

ギターと音楽機材とテクノロジーの進歩と

最近、ちょっと音楽をやりたくて

最近、久々にちゃんと音楽やりたいなーと思っていろいろと機材を入手し始めている。新しく機材を買うたびに、昔使っていた機材を思い出して、いてもたってもいられなくなったので文章にする。完全に自己満足でしかない文章だ。

始めて買ったMTR

その昔、多重録音というと本当に難しいものだった。どうやって多重録音をしてるのか、ということすらも全くわからなかった。

イヤホンジャックを二股に分けるやつを買ってそれをラジカセのINPUTにさして、同時に録音すれば多重録音できるんじゃない?と思って試してみたこともあった。当然そんなんじゃ多重録音できない。ミキサー機能なんてついてないわけだし。

そんなとき、当時高校生だった僕はMTRという存在を知りタスカムの2万円弱くらいのカセットテープを使ったMTRを買った。 MTRの仕組みを知ったときは衝撃的だった。カセットテープはLとRごとに録音領域がわかれているのでそれで2トラック分の録音領域を確保できる。さらに、A面とB面を両方当時に使えばそれをさらに倍にして4トラック分の録音領域を確保できるというものだった。

MTRを手に入れた後、僕はとにかく録音し続けた。作曲なんて大したものじゃない。好きなバンドの曲をMTRに録音して、それに合わせてギターを弾いた。毎日のように録音して、聴いて、下手くそだなぁと思いながら練習を繰り返していた。

そんなことをしているうちに、4トラックじゃ足りなくなる。4トラック分じゃそんなに録音を重ねることはできない。

その際に思いついた方法が4トラック分のデータをステレオで出力して、2トラック分にまとめてしまえばいいというものだった。後から知ったのだが、バウンス(ピンポン録音とも言ったかな)という方法だ。しかし、こういった方法もインターネットで調べることが普通ではなかった当時からすれば、自分なりに工夫しまくるしかなかった。なんて非効率的な時代なんだろう。

YAMAHAのMD-8という銘器

それでもアナログのカセットテープの限界はすぐに来る。その頃はもうバンドを組んでいて、自分でオリジナル曲を書くようになっていた。ドラムの録音もしたくなる。そうなってくると、デジタルで録音ができるMTRが欲しくなってくる。当時は、ROLANDのHDDに録音できるタイプが流行っていた。なんかかっこいいなーと思っていたのを覚えている。 でも、同時録画が4トラックしかできなかった。ドラム録音はもっと同時にたくさん録音したい。

キック、スネアにマイク2つ、オーバーヘッドで上からステレオでマイク2つ、あとタムにもおいたかな。そんなこんなで同時録音トラック数が欲しかった。

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その要件が揃っていたのが、YAMAHAのMD-8というMTRだった。これはとにかく画期的だった。 MD-DATAとうい今から考えるとわけのわからん記録メディアを使っていたMTRなのだけれども、録音部分はデジタル・ミキサー部分はアナログという非常に扱いやすいものだった。

ミキシングのまね事もこのMTRを使って覚えることができた。本当に銘器だと思うし、思い出がたくさん詰まっている。このMTRを前にどれだけの時間を過ごしたんだろうな、と思う。YAMAHAにマニュアルがあったので、ちょっと読んでみたけど表紙を見るだけで当時の思い出が蘇ってくる。このマニュアルを見ながら酒を飲めるレベル。

始めてのHDDを使ったMTR

そして、数年後MD−8はDiskをうまく読み込むことができなくなり壊れた。その頃は、8トラックから16トラックのMTRも増えてきて、記録デバイスはHDDが中心になってきた。 そこで買い換えたMTRは、AKAIのDPS-16という機種だった。

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このMTRはマルチエフェクターを内蔵しているのがポイントだった。マルチエフェクターといってもギター用のあれではなく、本当の意味のマルチエフェクターだ。 画期的だったのは、ボーカルのピッチチューンも付いているところだった。あまり精度はよくなかったけれども、それなりに活用をしていた。

これはかなり使い倒したと思う。PCとも接続することができ、オートメーションも書くことができた。手垢がつきまくって、再生ボタンや停止ボタンまわりが真っ黒だった。大学生時代の途中までこれを使っていたのだけど、本当にお世話になったと思う。

この頃に録音してた曲はこんな感じの曲だった。当時の流行りがこんな音だったんだよなぁ。

始めてのDAWシステム環境SONAR

時代も進み、PCをベースに宅録をする人が増えてきた。このころになるとPC価格もこなれてきて、それなりのスペックをもったマシンが安く買えるようになってきた。 このあたりから、自宅での録音はSONARでやるようになった。

ドラムの録音は、AKAI DPS-16で録音してきてそれをMIDIで同期してSONARに流しこむ。そして、残りのベース・ギターなどは、直接SONARに録音していた。

まずSONARにして感動したのが、トラック数の制限はソフトウェア上はほぼ無くマシンスペックに依存するというところだ。今考えれば当たり前なのだけど、それまでMTRしか使っていなかった自分にとっては衝撃的だった。パソコンってすげぇな!と単純に思った。

また、マスタリングのツールとしてT-RACKSも使った。これは本当に素晴らしい製品でこれを通すだけでなんかプロっぽい音になる。音圧がでるし、なんかリッチな音になる。ほぼ全てのレコーディングではこれを最終的に通してたと思う。こんな曲をレコーディングしていた。

そして卒業した

そして大学を卒業し、録音をしなくなった。ギターも弾かなくなった。単純な話で、就職したからだ。 音楽をやっていた先輩のそういう話を聞くとすごく寂しい気持ちになったのを覚えているのだけれども、僕も全く同じだったなぁ。

就職して忙しくなったのもあるのだけど、なんかどこかで興味が薄れてしまった。いまでもちゃんとした理由はわからないのだけど、プロを目指さなくてもいいや、と思った瞬間にギターと距離がちょっとできた。不思議なもんだ。 まぁその程度だからプロを目指さなくてよかったのかもしれない。

んで、31歳の今あらためてギターを触りたくなってくる。そう思った時に、昔と同じレベルの機材がMacさえあればちょっとの投資で手に入れることができた。

もう手垢のついたMTRの再生ボタンを触ることは無いだろうし、ギターソロの録音だけで100テイクとったりするようなことはないだろう。でもそうしていた時代のころの機材にちょっとの投資で戻ることができることができるってすごい時代だなぁと思う。