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UNIX的なアレ

UNIX的なこととかいろいろ

CTOを辞めた彼のエントリーを読んで

nobkz.hatenadiary.jp

昨日だが、このエントリーがバズっていて僕自身もtwitterでいくつか言及した。twitterってその場の思いを素早く伝えるのは非常に便利なんだけど、コンテキストが重要なものが説明しづらいとか、フロー的な情報という問題もあるため改めてブログに書いてみる。

率直な感想

まず、彼自身がCTOじゃなく1人のエンジニアとしてこの会社にジョインしていたのであればまぁわかるよという内容だ。エンジニアとしての美学を追求し続けたけど、それじゃビジネスが立ち行かなくなった。俺のことをわかってくれるVCが日本にはいない!

まぁここまではよくある話だと思う。誰もが失敗はするし、最初からうまくいく人なんてごく少数だと思う。問題は、この事自体を環境のせいにしているということだと思う。

技術的負債を早く返しすぎたのが失敗と書いてあるが彼がそう感じているのであればそうなんだ。ただこれにおける重要な点は、エンジニアとしての失敗ではなく、経営判断ミスだったということを深く受け止めないといけない。

CTOは経営者であるべきなんだ。とくにスタートアップの少人数でビジネスをしないといけないというフェーズにおいては、小さな判断もすべて経営判断になりうる。

もう一度いおう。このケースにおいて技術的負債を早く返しすぎたのは、確実に会社としての経営判断を誤ったということ。これを文句を吐き捨てるかのように書いて時代のせいにするというのは経営者としての目線の低さが根本的な課題だと思う。

ピボットはスタートアップの仮説を変えること?

ピボットはスタートアップの仮説を変えること、と彼は言っている。まぁそれ自体は間違っていない。でも、スタートアップだとそんなこと日常茶飯事だ。

言っちゃ悪いがそんな些細なことでいちいちダメージ受けていたら、この先やってられなくなる。そのくらいの変化くらい受け止めないと行けないし、むしろ前向きになるくらいのメンタルじゃないとまぁやっていけない。それくらいベンチャーの経営として働いていたら環境は変わり続けるし、それを受け入れて順応し続けなければいけない。

じゃぁ本当にシリコンバレーならそうなの?

たしかにシリコンバレーベンチャーには多額のお金があつまる。額だけでいったら、そこには多額の資金があつまっている。

ただ、待って欲しい。彼が言っているように二桁違うような資金調達をできるような会社は本当に一握りだ。それに、シリコンバレーだからこそ圧倒的に敵が強く多い。日本にいれば有名なニュースばかり飛び込むから夢を持ってしまうけど、誰もができることじゃない。誰もがザッカーバーグになれるわけじゃないんだ。

それに、日本でも資金調達は確実にできるようになってきている。僕がCTOを務めるnanapiは2010年に3億3000万円の調達が最初の調達だったけれども、いまでは10億以上の資金調達は当たり前だ。ラクスルが40億を調達したのも記憶に新しい。ちなみにnanapiは資金調達するまでは受託をやりながらnanapi作ってた。そんな戦い方だってあるし、別に最初から資金調達しないといけないってわけでもないと思うな。

www.itmedia.co.jp

エンジニアでスタートアップを海外でやるのはそれはそれでいいとは思うが、当然別の苦労もあると思った方がいい。そりゃ日本発でシリコンバレーで戦える会社ができたらすごいよ。Treasure Dataはすごく成功しているケースだと思うし、ああいう会社がもっと増えると良いとは思う。

あと、Y Combinatorをなんか勘違いしているみたいだけどあれ調達額でいうと1万ドルちょっと。それよりもメンタリングだったり、追加の資金調達をするためのVCとのコネクションなどの目的だと思う。

www.amazon.co.jp

なぜこのエントリーを書いたのか

強い言葉で表現したけれど、僕は彼を攻撃したいわけじゃない。じゃぁなぜこのエントリーを書いたのか。「これ以上こういった考え方のCTOが増えてほしくないから」というのが一番の理由だ。

「エンジニアは目の前のものさえ作っていろ」

こういう経営者はエンジニアから嫌われるのが世の常ではあるが、経営というレイヤーの仕事から逃げているCTOやエンジニアがいるとすれば、その人はエンジニアの地位が低いといわれているこの現状をつくることに加担していると思った方がいい。だったら、できることから変えていこうというくらいの意志が必要だし、経営に携わりうる人なら基本的なスタンスを見直すべきだ。

wadap.hatenablog.com

大きなものを批判するという娯楽

国や環境やVCなど、自分より圧倒的に大きな存在で自分によって簡単に変えられることができないものを敵としてDisるのは簡単だ。というか娯楽に近い。

時代が悪い、国が悪い、環境が悪い、VCはわかっていない、大人は理解してくれない、盗んだバイクで走りだそう。まさに言ってしまえばこんな感じ。対象の大きさが変わっただけで、基本的な思考の方向は変わっていない。そして、思考しなくていい。楽だから。

だから、もっと高い目線で語れる人が増え、本質的な議論をできるようになることが健全だ。誰かが大きなものを批判し「そうだそうだ!」と思考停止して同調してるだけじゃ何もうまれてこない。

頑張って欲しい

といろいろ書いたけれども、彼みたいにスタートアップに参画するというのはすごく勇気のいることだ。いつかは起業!っていう人を僕は多数見かけるけれども、ちゃんとアクションに起こしたというのはそれだけでもすごいことだとは思う。別に起業するのが偉いというわけじゃなくて、口先だけじゃなくちゃんとアクションしているという意味で。

だからこそ、その行動力を活かしてぜひ次こそはまた別の目線で戦って欲しいと思う。彼が改めて起業するだろう3年後、日本発のシリコンバレーで戦えるベンチャー企業がまた生まれることを期待しています。